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wataru/河野亘

webメディアbild 編集長 / web制作中心でしたが、記事も書き始めました。米作りも始めました。 twitter: @watarinrin78

企画 2018年05月08日

親が勉強しなければ、子どもに言葉が生きて届かない。

言葉を育てる

「学歴は関係ない」という声も最近は聞かれるが、将来の為に「勉強は出来た方がいい」と親なら思うところ。私にも3歳の娘がいるが、子どもの教育は難しいと感じる。自分の人生でない分、間違えてはいけないと考え過ぎてしまう。

 卒業生にラサール合格生や国際弁護士を輩出している、日向市の学習塾”蕗ゼミナール”。幼稚園児から小中学生までを対象にした学習塾だが、なかには2歳半から通う生徒や宮崎市内からの通塾を希望する生徒もおり、この塾に子どもを預けたいという親は少なくない。塾を運営する椎葉キミ子さんに優秀な子に育てる教育について伺った。

 椎葉さんが塾を始めたのは43年前。最初の12年間は公文の教室として子どもたちに勉強を教えていたが、その後独自の教育方法を確立して蕗ゼミナールを創設した。

椎葉さんが一番大切にしているのは『読む力』。問題を解けない生徒の多くは、問題を『解く』前の問題文を『読む』段階で挫折しているのだという。

記録してあった、ある生徒の学年別配当漢字の学習状況を見せてくれた。

「3年生から(覚えている漢字が)半以下になってきているでしょ。この子は、数学の成績は良かったのだけど、中学2年から急に成績が落ちて、うちに来たから調べてみたの。解く力は持っているのだけど、問題が読む力が圧倒的に足りていないんですよ。

 算術も思考も言葉で考える。言葉を知らないとみんなと同じ教科書で勉強するしかない、そうすると合わない子はどんどん遅れていきます。多くの生徒の学力を分析する中で『解く力』よりも『読む力』の方が大切だと気付いたんです。だからうちの塾ではとにかく本を読ませるの。」

 蕗ゼミナールの生徒はまず塾へ来ると、好きな本を自由に読む。分からない漢字があったらルビをふってもらいどんどん読み進めていく。読めない漢字があるとその場で練習させる指導もあるが、大切なことは読むことを中断させず最後まで本を読み切らせること。
本を読み切った成功体験が、読む楽しさや、集中力、問題を解く力にもつながっていくという。


「楽しく本を読めれば漢字は自然と覚えていきます。年長のある生徒さんは、読むことが楽しくなって小学1年生の教科書を全部読んで漢字も全部覚えちゃったの。学校の宿題でノートに何回も書いたりするでしょ。あれは全く意味がない。実力は伸びないし、勉強が嫌いになっちゃうから、私が真似して書いてしまうの(笑)

 数学だって学校では答えを教える、解き方を教える、どちらも正解で丸がもらえる。でも、生徒には『親も先生も教えていない解き方で答えを出すことが本当はものすごく尊いのよ』と教えるんですよ。子どもが何かを発見した時、これがすごく尊いの」


教えすぎたら伸びない

 以前、椎葉さんに「子どもを将来、医者にさせたい」と相談があり、その家に行ったら、ずらっと教材が並んでいたという。それを見て「あ、ダメだな」とすぐに感じたそうだ。

「親が教育熱心になると、自分がまるで子どもの頃秀才だったかのように何でも教えてしまうでしょ。でも、それじゃ子どもは伸びないの。教えることは快感なんです。親がその快感をとらないと子どもは伸びない。

『勇将のもとに弱卒なし』

子どもはみんな本が好きですし、勉強が好きなんですよ。でも、親も先生も本を読まない。読まない人が読めと言っても、言葉が生きて相手を動かしていかないでしょ。言った人が実行しなかったら、言葉が生きてとおっていかないの。それじゃ子どもは本も勉強も嫌いになりますよ。

先生や親は、自分で自分を教育する為の時間が大事だと気づいて欲しいの」


子どもたちの学びたい気持ちに寄り添いながら、生涯塾をやっていきたいと語る。
 
椎葉さんは79歳になるが、毎日寝る前に数学の問題を解いている。子どもに何者かになって欲しいと願うなら、親が本を読み、勉強し、何者かにならないといけないのだと気づかせてくれた。

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